ALSの治療法
ALSの進行抑制薬として承認されているお薬にリルゾールとエダラボンがあります。リルゾール内服は、臨床試験で3か月程度の生存期間延長効果が示されています。肝酵素上昇、間質性肺炎、食欲低下などの副作用が生じることがあります。エダラボン(商品名:ラジカット)は内服もしくは点滴で用いるお薬です。早期の患者群に対して6か月投与された臨床試験で2か月程度進行を遅らせる効果が示されました。エダラボンの副作用頻度は少ないですが、肝酵素上昇や腎障害などの可能性があります。
ALS患者においては体重減少を生じることが多く、体重減少が大きいと症状が進みやすいことが示されています。積極的な高カロリー食の摂取が勧められます。嚥下障害が軽度であっても進行性の体重減少がある場合には、早めに胃瘻造設を行い、経口摂取で不十分な栄養を胃瘻からとるようにする場合があります。胃瘻造設は呼吸機能の低下を生じる前に実施する必要があります。なお、進行期においてはカロリー消費が減るため、摂取カロリー量を減らす必要があります。
リハビリテーションを導入することは重要です。軽度から中等度の筋力低下に対しては過度な負荷にならない程度の筋力増強訓練は有効である可能性があります。ストレッチ、関節可動域訓練は全病期を通じて有用です。ALS患者では関節可動域制限が生じやすく、その場合、痛みを伴うことが多くあります。ストレッチ運動やマッサージにより痛みや筋緊張の軽減につながります。
呼吸症状が出る前に呼吸機能の障害が出てきていることがあるため、呼吸機能検査などで確認していくことが重要です。非侵襲的人工換気(non-invasive ventilation: NIV)は呼吸障害に伴う症状を緩和して、日常生活の改善につながることがあります。朝の頭痛、夜間の睡眠障害、呼吸困難感などが呼吸障害に伴う症状として生じることがあります。深刻な呼吸機能障害が生じた場合の気管切開の可能性を含めて、換気補助療法をどのように受けていくか、適宜主治医との相談と意思決定が必要です。